「数字を出す」だけではない  ~サプライチェーン領域の新卒データアナリストがMonotaROで学んだこと~

自己紹介

こんにちは。MonotaROの新卒2年目の辻です。サプライチェーン・マネジメント部門でデータアナリストとして働いています。 この記事では新卒社員の目線で新人データアナリストとしてMonotaROで経験していること、その中で感じていることをお話したいと思います。

MonotaRO入社の経緯

もともと大学では統計学やデータ分析の手法について勉強しており、仕事でもそういったスキルを伸ばしていきたいと思っていました。MonotaROについては学生時代に「名前を聞いたことがある」程度の認知でしたが、面接を受ける中で年々事業が成長していることや「他者への敬意」をはじめとするMonotaROの行動規範に魅力を感じて入社を決めました。2022年4月に入社後、サプライチェーン・マネジメント部門のデータアナリストとして配属され、現在はデータ分析業務を担当しながら関連部門と連携して施策を進めています。

サプライチェーン・マネジメントとは?

サプライチェーン・マネジメント(略:SCM)という単語をあまり聞きなれない方もいると思うので簡単にご説明します。 サプライチェーンとはサプライヤ→倉庫→顧客に届くまでのモノの流れを意味します。 MonotaROではサプライヤにモノを発注しほとんどの商品が物流センターを通ってお客様のもとに運ばれます。このモノの流れをより早く、正しく、安くなるように改善していくことがサプライチェーン・マネジメント部門のミッションになっています。 お客様の欲しいものが欲しいときに手に入るように、最適なモノの流れを提案・改善していくことが私たちの仕事です。

サプライチェーン・マネジメント部門にはどれぐらいモノが売れそうか予測する需要予測、発注の管理、海外から調達する商品の輸入業務、在庫配置戦略など様々な業務があります。 需要予測についてはデータサイエンティストの先輩社員が書いた記事があるのでこの領域についてより深く知りたい方はぜひご覧ください。

tech-blog.monotaro.com

データアナリストとして入社して感じたこと・気づいたこと

働き始めてまず私が気づいたのは、データアナリストの役割はただ数字の情報を提供するだけではないということです。配属当初はコードを書くことに精一杯だったので結果が出せればよいと思っていました。しかし実際はデータを出した後にそこから何が言えるのか、次に何をしなければいけないのか提案につなげていくことがとても重要だということを知りました。

ここで実際に私が担当した施策を例にデータアナリストが具体的に何をやっているのか、またそこで私がうまくいかなかったことや学んだことについてお伝えしていこうと思います。

SCMデータアナリストの業務

SCM部門のデータアナリストは具体的にどんなことをしているのかというと、 特定の課題を解決するためにデータ面から現状分析→施策提案→効果検証の一連の流れを行います。

SCM部門は特にモノとその流れの改善に関わる部門のため、主にお客様からの受注データやサプライヤへの発注データ、倉庫での商品の在庫状況、商品属性といった商品と物流関連のデータを扱うことが多いです。これらのデータをSQLを用いて抽出・集計しています。 またプロジェクトを通して商品カテゴリ担当者や物流センターの担当者など、モノとその流れにまつわる部門と連携しています。

私が配属してすぐに担当した施策が「季節性のある商品の欠品率を改善する」という施策でした。

まずは季節性のある商品とは何なのか、どのような傾向がある商品なのかを理解することから始めました。MonotaROでは季節性のある商品を多く扱っており、これらの商品は1年を通して需要に波があります。例えばストーブやカイロは冬商品、熱中症対策商品は夏商品というように特定の期間に受注が急激に増えるため季節性があるとみなされます。もし、受注が増えているにも関わらず十分に在庫をもっていないと欠品につながり機会損失になってしまいます。逆にシーズン終わりに必要以上に発注をしてしまうと、次のシーズンまで過剰在庫として保管スペースを圧迫することになってしまうため、発注のコントロールが重要な商材になります。

次に、なぜ欠品が発生するのかを把握するため現状分析を行います。 例えば梅雨明けが例年より早まったり、記録的な大雪があったりなど、急な天候の変化によってある日を境に受注が急増することがよくあります。実際に商品の受注・発注データを見てみるとこのような急な変動を予測することが難しいため、発注の量やタイミングが間に合わないということが季節商品の欠品の要因であることがわかりました。

要因がわかったら次に施策提案です。 需要が上がる時期に備えて在庫を確保できるような対策が必要です。過去の受注実績や欠品状況などを商品ごとに分析していきながら何をどれぐらい発注するべきか基準を作っていきました。 また、施策を進めていくためには関係者から合意を得ることがとても重要です。特にこの施策の場合は他部門に対応を依頼することも多かったため、SCM部門の上長だけでなく商品カテゴリ担当者と各物流センターの担当者に承認を得る必要がありました。各部門の持っている知識や抱えている課題などそれぞれあるため、数字だけではわからない情報もたくさんあることがわかりました。関係者にヒアリングしながら最終的な発注量を決定していきました。

最後に効果検証です。施策を実際に実施して本当に効果が出るのかをデータを集計・比較して効果量を算出します。これは報告する相手によってどのような指標を使うかが変わってきます。SCM部門としては今回の施策で季節商品の欠品率改善と売上拡大を目指していますが、他部門では異なる指標(入荷回数の変化、倉庫の保管スペース、作業コスト etc.)を重要視していることが議論の中でわかってきました。SCM部門が見る指標がどんなに改善されていても物流部門が見る指標が大きく悪化していれば継続的に施策を続けることは難しくなるため、双方にとってよりよい結果を出していくためにはどうするべきか整理しました。次の年に同じ施策を実施する際はより現場の負担を軽減できるようなロジックを新しく組み込んでみたりと改善を続けています。

業務を通して感じたこと

上記の例で見ていただいた通り、データアナリストとしての業務は数字を出すだけでなく施策提案や効果検証までつながっています。 データアナリストが出した数字はその後の意思決定や課題解決につながる指標となるため、数字を解釈して示唆を出すこと関係者とコミュニケーションを取り続けることがとても重要であることに気づきました。

数字を解釈して示唆を出す

例えば、1/2の50%と50/100の50%では意味合いが少し異なります。 ですが、算出した結果の50%だけを見ていてはその違いに気づくことは出来ません。自分が出した数字に対してなぜその結果になったのか分解していき解釈しないと間違った提案になりかねません。

どうしてその結果になったのか、その数字が意味するものが何かまで考察するには様々な背景知識が必要です。例えば、ある季節商品の欠品率が○○%と算出できても、その数字が高いのか低いのかは基準値を知らないと判断が難しいということがありました。現状分析の段階ではどんな切り口で分析を進めればよいかわからないので作業が行き詰ってしまうことも多々ありました。

そこでよりデータに敏感になるために毎朝時間を取って欠品商品のレポートをチェックし、欠品しやすい季節商品の傾向などを調べ始めました。その結果、欠品以外にも様々な課題の理解が増えていき、「この課題は他の商品でもそういえばあったな」と点と点がつながっていくようになりました。データ量が大きいと集計した値で判断してしまいがちですが、実際の商品単位ごとのデータを見ることで気づきをたくさん得ることができ、「こんなパターンもあるのか」「この場合はこういった解決策はどうか?」という考え方が少しづつできるようになってきました。

関係者とコミュニケーションを取り続ける

上記の季節商品の施策にもあったように、施策実行には商品カテゴリ担当者や各物流センターの担当者など他部門の方の協力をお願いすることがあります。特にSCMの場合は物流センターの現場の作業に影響する施策も多いため、現場の状況や制約を正しく理解しデータに反映しないと部門間でズレが起きてしまいます。

季節商品の施策を例に上げると、SCMとしては欠品率の削減は売上にも影響するため主な効果指標として考えていました。しかし、物流センター側では大量の発注を受け入れることは保管エリアの圧迫が懸念となるため認識合わせが必要になりました。当初の私の発注量の計算では現場の負担が大きくなるため、できるだけ必要な発注量を確保しながら負荷を軽減できるような修正が必要になりました。現場でどんな制約や課題があるのかをきちんと理解できるように、コミュニケーションを取り続けることが施策で効果を出すためにとても重要であることを学んだ経験となりました。

現在も物流センターに伺って直接担当者と話をしたり商品の現物や作業状況を見学することによって、データ上の数字だけではわからない新たな発見を得ています。部門をまたいだ積極的なコミュニケーションは課題を見つけて円滑に施策を進めるうえでとても重要だと感じています。

まとめ

この記事では私がMonotaROに入社して新卒データアナリストとして経験していることや感じていることをお話しました。

データアナリストという職種の定義は様々だと思いますがデータ抽出ができれば終わりではなく、

①数字から示唆を出し、提案につなげること

②関係者とコミュニケーションを取りながらベストな改善をしていくこと

上記2つが私自身がデータアナリストとして成長していく中で目指す姿であり、意識し続けたいと思っていることです。

MonotaROでは新卒入社で経験の浅い私にも課題解決に携わる機会が多くあるので、自分自身でも驚くほど成長できていると実感しています。また、サプライチェーン・マネジメントは物流センターの改善や顧客体験にも直結する施策が多く非常にやりがいを感じています。 この記事がデータアナリストの業務理解やMonotaROで働く雰囲気を感じていただくきっかけになれば幸いです。

サプライチェーン・マネジメントは日々新たな課題に取り組んでいるので、新しいチャレンジをしたいと思っている方、ダイナミックな経験をしたいと思っている方は、ぜひカジュアル面談もしくは採用にご応募ください! 

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