はじめに
こんにちは、新卒2年目の佐藤です。
MonotaROでは先日、ChatGPTを簡単に利用できるSlackbot「MonoChat (β)」を全社員を対象にリリースし、大勢の方に利用されるようになりました。 私は、ChatGPTが社内全体で活用されることで一人一人の身の回りの業務がもっと楽になったり、生産性を上げられる良い機会に必ずなると思いMonoChat (β) を開発しました。
本記事では社内の大勢の方に利用してもらうために考えたこと、設計/開発/運用してみて得た結果や知見、またMonotaROでのChatGPT利用についても紹介します。 特に、開発部分だけでなく設計部分や結果も紹介しているのでChatGPTを社内に普及させたい方にとって何か気づきになれば幸いです!
MonotaROでは全社員がChatGPTを利用可能です
社内でのChatGPT利用
ChatGPTが話題になってから社内で利用可能になるまでのスピード感は早く、3月末にはChatGPT利用のルールが整備され、機密情報入力不可ではあるもののOpenAIのサイト上のChatGPTが利用可能となりました。4月末には機密情報の入力が可能なAzure OpenAI Serviceがコンソール上で利用可能となり、より便利になりました。そして、5月初頭にAzure OpenAI ServiceのAPIを利用したSlackbot「MonoChat (β)」を全社展開しました。
MonoChat (β) の紹介
MonoChat (β) について紹介します。Slack上のどのチャンネルでも、誰でも利用可能です。使い方は簡単で、たった3行で説明できます!
(1) MonoChat (β) をメンションすると、裏でChatGPT が呼び出されてレスポンスが返されます。
(2) スレッドでやり取りを続けることで、前の結果を考慮した回答がおこなわれます。
(3) 特定の絵文字でリアクションするだけで返信を削除できたり、DM でも利用できたり、利用しやすい工夫もしました。
こんな感じで利用されています。
↓わからないことを聞いたり、、、
↓DMだとこんな感じです。(履歴っぽくなるように、返信形式にしてます)
↓機密情報も入力可能なので、社内システムのソースコードやエラーであっても気兼ねなく聞けます。
↓もしあなたが、整理されていないやり取りを見せられて「整理してください」と言われたら何分かかるでしょうか? MonoChat (β) は数秒でまとめてくれます。Slack上なのでスレッドの途中で大活躍します!
↓ただし、しれっと嘘も含まれるので注意は必要です。 どれが実在するお店か分かりますか?(全部それっぽいのですが、実は3番以外は実在しません 😅)
↓どうでも良い会話にも付き合ってくれます(つぶあん派らしいです)
全社的に活用されている!
Slackbotをリリースした結果、ありがたいことに全社的に広く利用して頂いています。 MonotaROはエンジニア比率が1/3以下の企業なのですが、エンジニア以外の方々にも多く利用されています。
MonoChat (β)の利用に関する数字について紹介します。
- 利用チャンネル数
- 約1ヶ月半で 196チャンネル
- チャンネル上での利用数
- リリース後1週間で 1000件以上
- リリースから約1ヶ月半経った6/27の利用量(ブログ執筆にあたって1日の利用量をカウントする仕組みを作ってみました)
- 394件(チャンネル上14件、DM380件)
- めちゃめちゃ利用されている & DM利用量が圧倒的!!
嬉しかった活用事例の一つは、MonoChat (β)がきっかけでカスタマーサポート(お客様からの問い合わせ対応を担当する部署)の方からChatGPTの業務利用についての相談を受けたことです。Slackbotとして実装することで、ChatGPTを気軽に試せるようになったからこそだと思います。 また最近では、様々な部門の方が自分たちの業務をよりよくするための利用方法を見つけ、それがシェアされて広がっていくケースを多く見ます。Slack上かつ誰でも簡単に使えるからこそだと思います。
全社的に利用してもらえた要因
サイト上でのChatGPTではここまでの全社的な利用は見られませんでした。ではなぜ全社的に利用してもらえることができたか、要因を分析してみました。
(1) 利用者の物理的ハードルを取り除いた
Slackbotにしたことで感じる最も大きいメリットとしては以下です。これらによって物理的ハードルを大きく下げることができました。
- 会員登録が必要なくなったこと
- わざわざブラウザを開いてログインする必要がなくなったこと
さらに、Slack上で利用することによる良い効果も分かりました。
- 良い使い方を共有できる
- 知見がSlack上に蓄積/共有されていく
- Working Out Loud(メンバーが何をしているか、何に困っているか分かる)
(2) 利用者の技術的ハードルを取り除いた
特にエンジニア以外の方だとブラウザ版のChatGPTの利用は取っ付きづらいものだったと思います。 会員登録やログイン、使い方が分からないなども大きな技術的ハードルだったと思います。 なので、社内で一般的に利用されているコミュニケーションツールであるSlack上で簡単に利用可能にすることで、これらの技術的ハードルを取り除くことができました。
(3) 利用者の心理的ハードルを取り除いた
より気軽に利用しやすくするために、心理的ハードルも下げられるよう以下のような工夫をしました。
DMでも利用可能にした
特に慣れていない方ほど「使ってみたい!」と思った時に、他の人に見られながら使うことに抵抗があるかと思いDMを解放しました。
返信をリアクション一つで削除できるようにした
MonoChat (β)の投稿かつ特定の絵文字のリアクションという条件で誰でも削除が行える実装にしました。 これによって、ChatGPTからの返信にプライバシーな情報など含まれてしまった時もすぐに対応できるようになりました。
絵文字はこんな感じで作りました。名前は「del_monochat」です。
やりとりのログを取らないようにした
好き勝手喋っていた内容が実はログとして誰かが確認できる状態でした、だとどうしても利用に抵抗感が生まれてしまうことを考慮しました。
エラーログも貯めてませんが、エラーが出たらこんな感じでエラー詳細が出ます。
(4) 機運が高まったタイミングで爆速で開発しきった
社内でのChatGPT利用の機運が高まってきたタイミングで利用してもらえるよう爆速で開発を進めました。 タイトルにもあるように、構想半日、実装一日でMonoChat (β)を開発しました。私を含めた4名で開発合宿と銘打ち、他のイベント全てを欠席し開発に集中しました。
画像のように実装途中のMonoChat (β)に質問をしながら開発を進めていました (笑)
最後に
設計段階から、ChatGPTをもっと広く(エンジニア以外にも)使ってもらいたい!という強い思いで開発してきたので、結果的に広く活用されていて本当に嬉しく思っています。MonoChat (β)がどれくらい使われているだろうとよくエゴサしています (笑)
MonotaROでは他にもAI技術を積極的に導入しています。直近ではGitHub Copilotを、社内のコードを触る方々全員(エンジニアはもちろん、デザイナーさんやマーケティング系の方々等400名程度)を対象に導入を進めています。私はこちらの導入にも関わっているので、より多くの方に利用してもらえるよう今回の知見を活かすことができればと思います。
当記事を通じてMonotaROに興味を持っていただいた方は、カジュアル面談もやっていますのでぜひご連絡ください!
おまけ
実装はPython + Bolt + Google Cloud Platform を利用しています。 ソースコードを以下リンクにて公開していますので興味ある方はぜひ覗いてみてください〜!