こんにちは、モノタロウのUIUXグループの澤井です。
主にサービス開発や商品開発のためのリサーチ・体験設計、これらのための仕組みづくり・運用に携わっています。
この記事では、チームにポジティブなコミュニケーションを増やすために、メンバー同士の自己開示のためのツールとしてスキルマップを利用したこと、利用にあたって工夫したことについてお話していきます。
目次
スキルマップってどんなツール?
そもそもスキルマップはどんなものかといいますと、縦軸と横軸を中心で交差させて分けた4つのセグメントにスキルをマッピングして傾向や状態を可視化するものです。自己紹介や自己分析に使ったり、目的によって様々に利用できる便利なツールです。 詳しくは、宇野さんのこちらの最高記事をぜひご覧ください!
スキルマップを利用しようと思った背景
気づきやアイデアを伝え合ったり、新たな挑戦を助け合ったり、成果を称え合ったりといったポジティブなコミュニケーションを増やすには、チームメンバーひとりひとりが自分の考えや感情を安心して気兼ねなく発言できる、安心して発言を聞ける、安心して行動できるといった心理的安全性がある状態が必要です。そして心理的安全性がある状態をつくるには、まずチームメンバー同士が自己開示をして理解し合うことが大切です。私の所属するUIUXグループに大きなコミュニケーションの課題があったわけではないのですが、以下の状況によって、よく知っているメンバーとそこまで知らないメンバーとややばらつきがある状態でした。
- メンバーによって担当する案件も関わる人も異なる状況
- 大阪と東京で拠点が分かれている
- 出社と在宅のハイブリッドワーク
しかし、「自己開示」といってもその方法に正解はないですし、機会がなければ取り組みにくいところがあります。このため、仕組みやツールで取り組むことはできないだろうかと考えて、コミュニケーションの得手不得手にかかわらず取り組める前述の宇野さんのスキルマップを思い出して利用してみることにしました。
スキルマップの利用にあたって工夫したこと
スキルラベルをチームでつくる
スキルの定義は人によって異なることがあります。一概に「これが正解」と言えるものではないですが、自己開示のツールとして利用するために、スキルマップに利用するスキルラベルは、私が骨子を作成したうえで、チームでスキル内容について擦り合わせを行い、デザインスキル(グリーン)とツールスキル(ブルー)を定義しました。これによって、チーム全体で理解しやすく、納得感のあるマップが作成しやすくなりました。
スキルをマッピングしやすくする、マップを読み取りやすくする
「まだまだ」の状態も「できる」の状態もどのように捉えるかは人それぞれですし、同様に、「好き/楽しい」と「苦手/楽しくない」の間にある段階も人によって異なります。こうした考え方や感じ方は、個々人のものであり、それはそれで問題ありません。しかし、今回は自己開示のためにスキルマップを利用するため、主観でも客観でも解釈のズレが起きないよう、縦横の軸それぞれに4段階の目盛りを追加しました。この目盛りによって、スキルラベルをマッピングしやすくなりましたし、スキルマップが読み取りやすくなりました。
向上させたいスキルを表明できるようにする
スキルマップを通じてポジティブなコミュニケーションが生まれるように、半年後に「できる」右側・「好き/楽しい」上側に動かしたいスキルラベルをピンクに変えてもらうことにしました。例えば、自分と同じスキルを「書籍/セミナーなどから勉強中」のエリアに置いてピンクにしている人がいたら、声がかけやすいですよね。また、「ツライ」「見習い中」エリアにピンクのラベルを見つけたら、一緒にどう進めていくか考えるきっかけになりますよね。ピンクのラベルは、その人がスキルを向上させたいという意志を示すもので、メンバー間の協力関係を生み出すきっかけになります。そして、「苦手/楽しくない」「まだまだ」なことがあったとしても、チームで支え合えば「好き/楽しい」「できる」に近づけるのではないかと考えています。
スキルマップを間に置いて対話する
今回スキルマップを利用する一番の目的は自己開示です。謙虚なメンバーが多くラベルが左側に寄る懸念があったので、いい感じに相互の自己開示ができるように他者評価も取り入れました。まずランダムに1on1を設定して、それぞれ作ったスキルマップを間に置いて対話する時間をつくりました。次に自分のマップについてフィードバックを受けたいメンバーを指名してもらって、マップを指差しながら対話をするという時間をつくりました。スキルマップを間に置いて対話することで、普段の中では伝えられないでいること聞けないでいたことについてお互いに話しやすくなるのではと考えました。
スキルマップを利用してどうだったか
自己開示をまず始めるということができた
一番の目的だった、メンバー同士の自己開示をまず始めるということができました。スキルマップというツールにチームの納得感とわかりやすさを加えることで、不安なくスムースに自己開示に取り組んでもらえたと思います。
相互理解が進み、ポジティブなコミュニケーションが増えた
スキルマップを使ってメンバー同士で自己開示することで、以前よりもお互いの理解が深まり、ポジティブで協力的なコミュニケーションが増えました。自分では「苦手」と認識していたスキルだったが他者評価によって見直せて自信が持てるようになった、あるスキルについて元々得意な人だと思っていたら、実はもの凄く努力していたことがわかったなど、良いエピソードをメンバーから沢山聞くことができました。とても嬉しかったので、一部ですが紹介させてください。
- 自分が持っていた自己イメージとメンバーから持たれているイメージが良い意味で異なることがわかった
- 他者評価で自分の気づいていなかった自分の良いところを伝えてもらえてすごく嬉しかった
- スキルラベルがどうやって右や上に移動していったのか?その経緯を聞くことができて参考になった
- 苦手な領域があったけど、スキルラベルをピンクに変えて宣言した結果、克服するための機会が得られた
- 同じスキルに興味があるメンバーが見つかって、一緒に取り組む会が発足した
「苦手/楽しくない」「ツライ」を伝えることも大切だとわかった
特に仕事においては、「何ができるか」がコミュニケーションの主軸となることが多いため、「まだまだ」といったスキルの状態を自己開示するのはなかなか難しい状態になりがちです。しかし今回、スキルマップで「苦手/楽しくない」を開示した結果、気が楽になったと言ってくれたメンバーや、「ツライ」を教えてくれたので、自分の「ツライ」も伝えやすくなったと言ってくれたメンバーもいました。たしかに、「苦手/楽しくない」「ツライ」を教えてくれたら、寄り添ったコミュニケーションもしやすいですよね。スキルマップを通して、ポジティブな状態だけではなくネガティブな状態も共有することが、ポジティブなコミュニケーションのために大切な要素だとわかりました。
これからどうしていくか
スキルマップはスキルラベルとあわせて定期的にチームで更新しつつ、チームを紹介する時や新しく入るメンバーの自己紹介ツールとしても使っていく予定です。
おわりに
最後まで読んでくださってありがとうございます!
同じ課題を感じているチームの参考になったら嬉しいです。
テンプレートもコピーしてぜひご利用ください。