300人超が参加する社内Techカンファレンスを爆盛り上げさせるためにやったこと ~ 実行委員会メンバーが振り返る ~

イントロダクション

こんにちは。サービスインフラ-Bグループの高野です。

今回は毎年春秋に開催している社内テックカンファレンス「ManabiCon(マナビコン)」とその実行委員会について紹介します。 今回の記事は実行委員会5名全員での執筆です。

前回との違い

今回のManabiCon(社内テックカンファレンス)は本開催となってから3回目、プレ開催を含めると4回目の開催となりました。

これまではエンジニアリングマネージャーがほぼ一人で運営していましたが、今回からは実行委員会を組織することで開催時の負担を軽減しつつ、これまでより多くの方の学びを共有できる場を目指しました。

組織のリーダーレベルからのトップダウンから、エンジニア組織からのボトムアップでの取り組みにシフトチェンジしました!

実行委員会は立候補という形で組織し、ManabiConへのアツき思いを持つ5名が集まって運営を行いました。 以下、5名の簡単な自己紹介です。

竹野: データサイエンスグループで開発者をやってます! 社内カンファレンスというのはその中で、横断的な交流を生む絶好の機会です。小さいコミュニティの運営の経験や現職の社内LT会を運営に携わっていることもあって、社内カンファレンスの運営、面白そうだなと思い飛び込んでみました。

川口: 様々な会社を経由して現在弊社のデータサイエンスグループにて働いております。MLシステムを構築することをメインの業務として行っており、バックエンドのシステム構築に関わっております。ManabiConへの聴講者としての参加から、社内のコミュニケーションの活発化とアウトプットの場をより盛り上げていきたいと思い、運営に立候補いたしました。

吉田(id:syou6162): 普段はデータ基盤グループで働いています。アウトプットは元から好きで、個人のブログやMonotaROのTech Blogを書いたりエンジニアコミュニティで勉強会の運営/発表などをやっていました(今回のManabiConでも2枠発表しました)。社内でもアウトプットの場を広げていきたいなという思いがあり、社内のLT大会も主催していましたが、ManabiConを通じてLT大会のようなアウトプットの場をより広く知ってもらいたいと思い、運営に立候補しました。

市原: ソフトウェアデリバリーチームというところで、ECサイトのリリース周りの改善やCICD基盤の企画・開発・保守運用に関わっています。少し前までSREとしてサイトの運用の安定化・高度化に取り組んでいました。 モノタロウへは2016年に新卒入社したので、今回のManabiCon運営の中では一番の古株です。人見知りですが、お祭りは好きなので運営に参加しました。

高野: 2017年に新卒入社しました。もとは社内ヘルプデスク担当でしたが、3年目の中頃から拠点のネットワーク構築やイントラサーバ構築に関わっています。前回のManabiCon#2で拠点立上の苦労話をしたところ、労いであったり「勉強になった!」というプラスの反応をいただけて本当に嬉しかったです。このため、自分も発表を盛り上げる立場となるべく運営に参画しました。「ITインフラチームも元気にバリバリやってまっせ!」アピールも兼ねて、発表と運営を並行して準備しました。

普段の業務に支障をきたさないよう負荷分散を行い、5人全員が能動的にManabiCon運営に尽力できました!

運営において、力を割いたポイント

運営が考えることはシンプルで「場を作ること」なのですが、主に2つの視点からの運営を意識しました。

  • 「発表者に気持ちよく登壇してもらう場を作ること」: 発表者に気持ちよく登壇してもらうことで、次回以降のManabiCon(社内テックカンファレンス)で発表する意欲向上に繋がります。 ManabiConはオンライン開催であるため、オフラインで開催するよりも聴講者からのフィードバックが伝えづらい状況です。 このような状況下でも気持ちよく発表してもらえる場を作ることが大事になります。
  • 「参加者に気持ちよく聞いてもらえる場を作ること」: オンライン開催で参加者同士の交流が通常より難しくなります。 基本的な導線を整備しつつ、発表への聴講参加のアクセスを簡単に行えるように利便性を向上させることが大切です。 また当日においては、良い雰囲気を率先してつくることが大事です。盛り上がった雰囲気を作ることで聴講者のより積極的なリアクションが期待できます。

発表者、参加者双方が盛り上がるような環境を用意するために、事前準備と当日運営で尽力した点を、各々分けて説明いたします。

当日までの事前準備

なんと言っても、社員の皆が参加してくれないことには、ManabiCon(社内テックカンファレンス)は始まりません。 そこで発表をしやすい状況を意識して次のような工夫を行いました。 結果として、単日の開催にもかかわらず合計30枠というたくさんの発表に繋がりました。

LT(Lightning Talk)やパネルディスカッション、ワークショップといった様々な形式の発表枠の設置:

今までの形式では難しかったテーマやボリュームが小さい発表が拾えるように、これまでの口頭発表とは異なる形式での発表枠を用意しました。

「LT枠」では通常の発表枠の1/3を発表時間としたお手軽に参加できる枠として、 「パネルディスカッション枠」は、複数人の発表者同士の交流が意識された発表枠を用意しました。

「ワークショップ枠」では、SREの取り組みを体験してもらうために聴講者が一緒に参加する体験型の発表形式でした。

このように形式の異なる枠を用意したことで、発表者としても聴講者としても一味違った楽しみ方ができるようになりました。

他薦枠の設置:

面白い取り組みであっても、その取り組みを行っている本人にとっては取り組みを過小評価する傾向があります。 こういった面白い話を拾えないことは、組織にとっても学びの機会損失につながります。 そこで聴講者の方から聞いてみたい取り組みをアンケートで募集し、これを元に発表を依頼する「他薦枠」を設置しました。

これによって「TechBlogの運営に関する取り組み」や「SoftwareDesignの連載のための進行」といった開発組織横断での取り組みを ピックアップすることができました。ご興味がある方は上記リンクより、個別記事をご覧ください。

開発組織系からモノタロウ組織全体への発表の募集:

これまでのManabiConはモノタロウのエンジニア組織に閉じた開催でした。前回の成功を踏まえてこの盛り上がりを、さらに広げるため全社的に発表の募集をかけました。 この結果として、商品の需要予測に機械学習を導入しサプライチェーンの高度化を行ったチームや、お客様ごとにパーソナライズされた販促の取り組みを行ったチーム等、さまざまな発表をいただくことができました。

このような活動を組織全体に効果的に広げていくには、部門や各種グループのマネージャによるコミットメントを得ることも大切です。 今回はエンジニア組織の部門長から他部門へ声がけしてもらうことで、いろいろな方による発表に繋げることができました。

発表中の聴講参加者数の平準化:

発表者にとって聴講者の大事な役割のひとつに「盛り上げる空気感」を作ることがあります。盛り上がらない雰囲気は発表者の体験の悪化につながります。 これは聴講者の参加人数に強く左右されますが、難しいことに人気発表はより偏る傾向にあります。

この背景からカンファレンスのタイムテーブル決めは、運営の難所の一つです。 この問題を緩和するために、今回のManabiConでは事前アンケートによるタイムスケジュールの調整を行いました。 事前アンケートの結果に基づき、時にはあえてトラック数を減らすことで聴講者の偏りを緩和することができました。

当日の運営

いよいよ当日となり、ManabiCon(社内テックカンファレンス)の開催です。発表者と参加者双方が気持ちよく登壇/聴講していただくためには、 心地よい盛り上がりを作るために双方のポジティブな感情の共有が大事になります。

このためには発表者に続く、「良い2番手」の存在が重要です。(この2番手の重要性については「社会運動はどうやって起こすか」が参考になります) オンラインの開催ですので、SlackとZoomの双方によるリアクションの共有が大事であると思い、下記の工夫をいたしました。

  • 発表者が所属するグループ長へ、発表者へのフォローアップの依頼
  • 当日の開催案内の際に、Zoom Video Onの案内を行う
  • Slackチャンネルをトラック毎に作成する(トラックA~Dまでの4トラック)
  • 発表の最初と最後にてSlackにて拍手を促す

「発表者が所属するグループ長へ、発表者へのフォローアップの依頼実施」を除いては、全て同期的にリアクションを共有するために行ったことです。Slackが主なチャット会場となっていたので、チャンネルをトラック毎に分割することで、情報の共有と情報の統一化を図り、同一の話題で盛り上がれるようにしました。また、Slackにてコメントしやすい雰囲気を形成するために、拍手コメントを促したり、運営委員が積極的にコメントを行ったりしました。

最後に、非常に泥臭い作業となりますが、当日においてトラブルシューティングを積極的に行うようにしました。

検知→整理→指示→解決の流れをうまく保つことで、ManabiConをできるかぎり円滑に運営できるように心がけました。当日、Zoom周りのリンク切れ、音声や録画のトラブルなど、様々な細かいトラブルや要望がありましたが、Slackを巡回することで素早く検知して、迅速な解決を行い、運営の安定化を図りました。

運営時の苦労

運営と発表を兼任したメンバーが5人中3人いたため、ManabiCon直前期になると3人分の稼働が取りづらくなりました。

「ManabiConを盛り上げたい!祭りだ!」という気持ちから、発表したい気持ちが抑えられなかったのですが、発表しつつ無理のない運営を行うにはどうすればいいのかについては今後の課題です。タスクは今回の運営でおおよそ把握しきりました。発表しないメンバーにタスクの多くを担っていただいたので、初めからタスク一覧がある次回からはタスク配分に留意できると考えています。

正直なところ、やる気・元気にあふれたメンバーが運営につどったため、苦労という苦労は大きくありませんでした。

以下に3人それぞれが発表した内容をタイトルと簡単な内容を記載します。

追ってそれぞれの詳細ブログ記事が出る……かもしれません!

市原: Wheel of Misfortune(障害訓練ロールプレイ・解説)

2枠ぶちぬきでの発表という新たな試みで行ったこのセッション。実際のシステムの障害を想定したシナリオを用意し、犠牲者 何も知らないチームメンバーをプレイヤーとして、障害解決のための公開ロールプレイをしてみました。見ているほうまでドキドキするような緊張感の中でセッションは進み、解決したときには称賛の拍手が沸き起こりました。

吉田: 採用活動をグループでやってみた話

データ基盤グループで行っている採用活動について発表しました。社外を見渡してもデータマネジメントに興味を持つ方はまだまだニッチな存在であり、そういった方を採用するための試行錯誤がメインの内容です。データマネジメントに関連するJob Descriptionもまだない、カジュアル面談もあまり発生しない状況からのスタートで、採用のファネルを見ながら各時期にそれぞれ何を考えながら活動を行ったか、副産物としてチームビルディングの観点からどういったものが得られたかを紹介しましたが、自グループでも採用活動を積極的にやっていきたいと思う方からのフィードバックも得られました。発表の詳細については今度外部のイベントでも発表予定なので、興味ある方は是非ご参加ください。

高野: サテライト拠点での認証VLAN導入苦労話

座席のフリーアドレスかつ有線接続という、「座席選びの自由さ」と「通信品質の安定」のいいとこ取りをした環境を構築するため、MonotaROで初めて「認証VLAN」を導入しました。検証中にいろいろなトラブルがあったため、そこから得た学びを発表しました。

認証VLANの検証とManabiConの資料作成が平行することとなってしまい、準備期間は少し忙しめとなりました。「ManabiCon発表までに導入できるスケジュールだ!成果発表するぞ!」と考えてエントリーしたのですが、検証で大きく時間を取られ途中経過での発表になってしまいました……。

(2022/06/22追記)6/12に認証VLANをとうとう導入できました!詳細ブログ記事で技術的なことや困ったこと等を記載予定です。

当日の盛り上がりの様子

基調講演は、和田卓人(t_wada)氏の『質とスピード』2022年春版でした。

ソフトウェア開発において、質とスピードがどのように両立しうるのか、端正なロジックと豊富な引用による圧巻の内容で、社内も大盛り上がりでした。エンジニア的に耳が痛い話や共感できる話、ためになる話などが出るたびにSlack上で悲鳴や歓声が飛び交いました。 基調講演での運営の仕事のハイライトの一つとして、Slackの実況があります。

Slack上での阿鼻叫喚
t_wadaさんの講演で多くを学ぶ聴講者たち

t_wadaさんが入られている当社のSlackチャネルと、当日実況しているSlackチャネルが異なっていたため、講演冒頭では社内の反応をお伝えできていないことに気づきました。

そこで急遽、講演の最中にSlack投稿を転送するアプリをZapierというサービスを利用して、投稿のリアルタイム転送を行いました。これにより、社内でどのような反応があったのかをお伝えすることができました。

次回への反省点としては、講演者がいる同じチャネルで実況できるように事前に調整すると良さそうです。

後日、t_wadaさんに入っていただいているミーティングの場でも、ManabiConについての振り返りを行い、多くのフィードバックをいただくことができました。社内の雰囲気の良さや、いくつかの発表については社外に出せるレベルではないかとお褒めいただきました。更に良いものとするためのアイディアとして、雑談ができる廊下チャネルや、副音声実況、カンファレンス用のツールや機能の活用などの実例も教えていただき、今後やってみたいことが増えました。

社内からの発表では、非常に幅広いチームからのセッションがありました。アプリケーション開発のチームやITインフラチーム、業務部門からの参戦など内容も多様で、普段あまりかかわりのないチームやプロジェクトの内情を知れたり、似たような課題感をもっているチームがいることに勇気をもらったりと、参加者は多くの収穫があったようです。

パネルディスカッション形式の発表もあり、SoftwareDesign執筆プロジェクトメンバーによる対談や、マネージャー同士によるエンジニアリングのリーダー論など、オンライン開催なのに熱気が伝わるものばかりでした。

SoftwareDesignチームの発表時の聴講者たち

リーダー論に耳を傾ける聴講者たち

今後について

ManabiCon(社内テックカンファレンス)は今後も実行委員会方式で年2回の継続開催予定です。 運営に参画して持ち帰ることができた「学び」としては、以下の3点です。

  • 社内の中でも動きがとても早いメンバーと運営ができ、自身(高野)の動き方・働き方の参考になりました。
  • 5人で分担したからこそ、他薦枠の発案や盛り上げについてのアイディアなど豊富な意見を出すことができ、それを実行に移すことができました。個人では視点が足りなかった部分に踏み込むことができました!
  • 事前投票で同じくらいの人気だった発表同士の時間帯を同じにして、発表を聞きに来る人数の分散を狙いましたが、思った以上に偏ってしまいました。これはトークセッション数や発表枠決定に重要なファクターとなるので、次回以降で要検討となりました。

社内のTech文化醸造に貢献でき、かつ普段関わりの薄い他部署のメンバーと交流できるとてもよいチャンスになります。ぜひとも本記事を読んでいる社内メンバーは次回の実行委員会に立候補してみてくださいね!

今はモノタロウ社外の皆様も、ぜひ私達と一緒に働いてManabiConを盛り上げてみませんか? 次のManabiConを私達と作るのは、今この記事を読んでくださっているあなたたちです! Joinお待ちしております😊💖

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