TOCクラブ「トヨタ生産方式の本質」のキーワードがグサグサ心に刺さった

こんにちは。金谷です。

開発チームを引っ張っていく上でのヒントを求め、京都で開催されたTOCクラブに参加してきました。
社内外を問わず、あらゆる産業界でトヨタ生産方式の本質を伝える実践者である、林 南八さんの講演です。トヨタ生産方式についての知識はあまりない状態での参加でしたが、多くの気付きや刺激がありましたので、キーワードをいくつか紹介します。

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滞留を極力減らすことが重要

モノ以外にも滞留がある

ジャストインタイム方式の誕生の背景は、お金が無い状況でいかに資金回収までの時間を短くできるか?だったそうです。
時間を短くする上で重要な考え方は、滞留の存在。滞留があればあるほど、その工程における待ち時間が長くなります。滞留が増えれば増えるほど、例えば実作業は30分なのに待ち時間が5時間とか…。逆に滞留を減らせば減らすほど、作業の待ち時間が短くなり、早くお客様に製品をお届けできて、お金をいただけるまでの時間も短くなるわけですね。

さて開発現場を思い出すと、色々な滞留があることに気付かされます。例えばCI結果待ち、コードレビュー待ち、リリース待ち、リソースの調達待ちなどなど…

モノであれば、山のような仕掛り待ちの部品のように目に見えて分かります。しかし、プログラムなどは規模感含めて目に見えにくいですよね。レビュー待ちのプルリクエストは1件、でもプルリクエストを開けると差分のあるファイルが300件…みたいなことも見えにくいわけですね(白目)。
各工程の滞留がどのくらいあるのか、見える化することで、ソフトウェア開発におけるリードタイムの削減に繋げられる可能性が高そうです。

「常に困った状態を作り、チャレンジを続けざるを得ないように仕向ける」ことが人財育成には不可欠

例として挙げられていたこととして、生産現場であえて人を一人減らして純粋に生産性を減らしたり、あえて異常状態を発生させた、という話がありました。人が減ったら、何も手を打たなければ、生産性が下がってしまう!意図的であれ、困った状況が作り出されたとしても、人のせいにしたりせず、

  • 生産性を同等またはそれ以上にするための知恵を絞って対応する。
  • 異常状態からいかに素早く復旧できるかの知恵を絞って対応する。

このように知恵を絞り、対応し、より良い状態になったかどうかを確認することで、人が育つとのことでした。
自分やチームは、不満を言うだけで改善していない人・チームになっていないか。考えさせられるやり方だと思いました。

課題を与えたときに与えた人自身も考えている。だから確認に来る。

「どうなっている?」は催促であり、フォローではない。

課題を与えただけで、その後「あの課題はどうなった?」とだけ聞くのは良くないそうです。それは単なる催促ですと。
ある人は「80%!? 全然できてないじゃないか!」と怒鳴りつけながらもヒントを置いていき、
ある人は「20%!? ずいぶんできたね。それを見て思ったんだけど…」とヒントを置いていき。

課題を出した人自身も考えているからこそ、結果どうなっているかを見に行くし、ヒントも出せるのですね。

課題を投げっぱなしにしていないか?適切なフォローができているか?今一度振り返ってみるいい機会になりました。

参加してみて

自分の開発現場にて、滞留の起こりやすい部分を特定し、滞留を極力減らす対策をすぐにでも検討しよう!という気持ちが高まりました。
例えばコードレビューは滞留しやすい部分ですが、それはレビュー対象の品質、レビュー担当の負荷、レビューの件数・量などの要因で滞留しやすいと考えています。レビュー対象の品質を上げることはソフトウェアエンジニアの努力で何とかなることが多いかと思いますので、機械的なチェックや設計の意図が伝わる説明、単体テストがパスしているもののみレビュー依頼を出すなどの工夫により、レビュー担当の負荷を下げることは有効だと思います。


また、最近の自分のテーマである「人を育てる」ことについてもいくつかヒントを得ることができました。すぐできそうなこととして、課題を与える際に、自分でも課題を解く方法を考えておいた上で挑もうと思います。課題を与えた相手が課題を解けそうになければヒントを与えやすいですし、解けた場合には自分の案と比較することで、よりよい方法をお互いに学ぶことができそうですね。


最後に林 南八さんが仰っていた
「改善にはゴールがない。やり続けることが大切」
を、自分が関係するサービス開発にも活かしていこうと強く思った時間でした。